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    兵庫県宍粟市千種町の豊かな自然に抱かれてのびのび育ったニワトリと有精卵

 
2009.8.24
いよいよ衆議院選挙 ── 農政に関して

 いよいよ、やっと、ようやく、衆議院の選挙が近づいて来ました。
 この4年間で完全に疲弊してしまった地方の怒りがどう現れるのか。 
 小泉改革で格差が広がった、地方が疲弊したといわれます。私もそう思いますが、あるいは、小泉氏がしていなくても、もう地方交付税を今まで通り出して、地方を公共事業で活性化する余裕が日本にはなくなっていたのかもしれません。

 最近になって麻生氏がやたら地方に公共事業を作っているようですが、また、借金の山です。
 前にも書きましたが、やっぱり、地方の基盤は公共事業(土建業)ではなく、農林業しかないと思います。公共事業とは、そこに本来住む人がいて始めて必要とされる事業なんです。人が住むから道が要り、公民館が要るのです。公民館を建てるために人が住むのではないのです。だから、「立派な道はできたけど車はほとんど通らない」なんて事が日本各地で起こっているのです。

 ならば、本来、田舎に人が住める条件とはなんでしょう。町工場があるとか、観光地とか地場産業があるなど、いくつかありますが、それは日本全国すべての田舎で成り立つことではありません。どこの田舎でもできることは、やっぱり農林業しかないのです。

 こうして書くと、これは田舎の問題かと思われるかと思いますが、これは、まさに都会の人の問題でもあるのです。なぜなら、日本の農業が廃れるということは、食糧自給率は下がり、食料を外国に依存するということです。
 これは、とんでもなく危険な事だと思うのですが。中国ギョーザ事件も、すっかり言われなくなりましたが、実態は、何も変わっていないでしょう。また、今後、食料が投機の対象になり、価格の跳ね上がる日が来るのは火を見るよりも明らかです。オーストラリアの天候不順は今年も続いています。
 また、小泉氏がイラク戦争自衛隊派遣のときにいみじくも言いました。「アメリカに食料を握られていて反対できるか」と。そう、食料を外国に依存していると、言いたいことも言えません。どんな強い武器を持とうが食料をストップされれば、今の日本は何ヶ月もちますか? 食糧自給は何よりの国防です。
 そうです、農業が廃れ、地方が廃れるということは、まさに、日本全体の大問題だと思うのですが、イマイチ、都会の人はそんな感覚はないようです。

 そんな中で、農業政策に関して、8月19日の朝日新聞にこんな記事が載っていました。

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 日本再生5つの争点 識者に聞く
 「もっと知りたい」・農業
  (回答者) 大泉一貫 宮城大副学長
 与野党共に政権公約に掲げたのは目先の農家対策で、農業をどう強化するかというメッセージがない。
 高齢化が進み、担い手不足が深刻な農村・農業を活性化させるのか、国際化とどう向き合い競争力を高めるのかという視点が必要だ。生活保護的な発想を競うばかりでは産業政策としてはいかがか。農業はもうジリ貧だと考えているのだろうか。
 財政出動による所得の補填は一時的であるべきだ。日本の農業は、輸入農作物への関税を引き下げたら崩壊してしまうほど弱いとは思わない。(海外に出ても)技術やノウハウで戦えるはずで、もっと自信を持つべきだ。
 民主党は当初、米国との自由貿易協定FTAを締結するとしたが、「交渉を促進」に後退させた。所得の補填の是非くらいしか争点がなくなったのは残念だ。
 今後、FTA推進は不可避だ。国際化を進めても成り立つ農業政策を競って欲しい。

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 朝日新聞にはこの趣旨の記事がよく載ります。他の大手新聞もきっとそうでしょう。
 私は、こんな記事を読む度に、「そしたら、あんたがまずやってくれ」と叫びたくなります。「国際化を進めても成り立つ農業政策」とは具体的に何なんでしょう。教えてもらいたい。いや、まず、その人にやってもらいたい。

 結局は規模拡大なのでしょう。でも、実態を知って言っているのでしょうか。一反(10a)の田んぼの畦の草刈りに半日はかかります。年に2回は最低しないといけません。規模拡大で自立できると言われるのは最低でも1軒当たり20〜30ha。つまり一反の200倍、300倍。どうやって1人でするのですか。これだけの広さだと水路も長大。川からの取り口も10カ所は優に超えるでしょう。雨が降ったら詰まります。台風が来たら所々崩れます。どうやって一人で見るのですか。それが日本の田んぼの実態です。おそらく半分以上はこんな条件でしょう。それでも、みんな一生懸命守っているのです。

 こんな中でどうしていつも規模拡大しか出てこないのか。(自民党農政はずっとそうでした。)結局、農業を知らない役人達が机上で政策を作るから、あるいは、本気で農業再生を願っていないからでしょう。

 前にも書きましたように、私は、農業再生のためには、「農家への直接所得補償」抜きでは成り立たないと思っています。欧米はきちんとそれをやっています。ヨーロッパの農家の全収入の6〜7割は国からの補助金です。「国際化と向き合い競争力を高める」ためにしているのです。これをバラマキだと誰も言いません。

 民主党は、2年前の参議院選挙に続いて、今回も「農家への直接所得補償」を言っています。そして、バラマキと批判されてます。どうしてその時に、「これはバラマキではない。たとえもっとかかっても、食糧自給、農家への所得補償は当然だ」と反論できないのでしょうか。
 それは、民主党もそこまで腹がすわってないからでしょう。だから、片や「食糧自給する」と言い、片や「日米自由貿易協定(FTA)を締結する」と言うのです。食糧自給と自由貿易は、実は、両立し得ないことなのだと思います。

 いつもながらそうですが、どうか、農業問題を田舎の問題ととらえるのでなく、まさに都会人の問題でもあると考えてもらいたい。田舎の者は、最悪、農業を放棄しても、自分の食料は作れます。でも、都会の人は何を食べるのですか。
 景気対策、年金問題、脱官僚・・・、みんな大事ですが、食料はホントに大事なことだと思いますよ。