兵庫県宍粟市千種町の豊かな自然に抱かれてのびのび育ったニワトリと有精卵

 
 巷では、非常に安い値段で卵が売られています。でも、安くなるにはそれなりの理由があります。大量のエサの輸入。狭いケージに2〜3羽詰め込んだ身動きできない鶏たち。日光を一度も見たことがない鶏たち。草も一度も食べたことのない鶏たち。窓が全くないので、埃とフンのアンモニア臭で目も開けていられないほどの空気。経費を極限まで減らすことの研究され尽くしたシステム。そこは、命の世界ではありません。工場です。

 そのような実態は、消費者には全く伝えられません。鳥インフルエンザを契機に、鶏舎への立ち入りがよけいにできなくなりました。ニワトリは生き物です。鶏舎は病院の無菌室ではありません。人も簡単に入れないような、無菌の状態でないと生きていけないというのは異常な世界です。しかし、ニワトリが何十万羽、何百万羽と密飼いにされていて無菌であるはずがありません。だから、鳥インフルエンザは窓のないウィンドレス鶏舎で頻繁に起こるのです。

 昭和30年頃、お好み焼き一枚と卵一個が同じくらいの値段だったそうです。国内のエサで、生き物として昔風に飼えば、卵というのはそのくらいの価値のあるものなのです。

 卵は、こんなに安くなったので、一番手軽に大量に使われるようになりましたが、もともと、もっと高価で、そんなに大量に食べることのできなかったものです。そして、そんなに大量に食べるべきものではないのだと思います。だから、コレステロールが高くなったりするのではないでしょうか。(卵だけが原因ではありませんが)

 本物の「おいしい」卵を少なく大事に食べていただくことが、体にもやさしく、自然にもやさしい食べ方、いや、「生き方」なのではと思います。

 カネにあかせて大量にトウモロコシを輸入し、ニワトリを生き物とも思わず、卵だけをむしり取る・・・、そんなことを続けていれば、いつかしっぺ返しが来るのは間違いないと思います。その一つが、卵アトピーであったり、鳥インフルエンザなのだと思います。

 また、巷には、特殊卵、健康卵として、何か特別な「体にいい」成分がたくさん含まれた卵を、割高に売っていることがよくあります。卵は、エサがそのまま卵に変わったものですから、エサに特別なものを添加すれば卵にもそれはすぐに移行します。しかし、それ以外の飼い方は、普通の卵と全く同じなのです。だから、普通の卵に含まれている危険な成分は同じように含まれているのです。特別な成分は必要ありません。「普通の卵」で良いのです。危険なものが入っていない昔ながらの「普通の卵」。それが一番大事なのではと考えます。

 「赤っぽい黄身がいい卵」とか、「特殊卵はいい卵」とか、さまざまに生産者は工夫をして売り込もうとします。もちろん、創意工夫は大事なことです。しかし、それがどんな目的のためのものか、消費者はだまされてはいけません。消費者はもっともっと、生産現場に関心を持つべきではないでしょうか。その当たり、日本人は一番無知であり、無関心と言われています。これは卵だけの話ではありません。

 食べ物は命の源です。どんな健康サプリメントを口にするよりも、本当に安全で健康な食品をしっかり食べる方が、どれほど体に大事なことでしょうか。

 1円でも安く食費を始末するのを『賢い消費者』と言うようですが、その結果、何年か後には医者代が高くつくことはないでしょうか? あるいは、もっと大事なことをなくしているのではないでしょうか? そんな気がしてなりません。